院長の学術活動報告
院長の活動報告(H23年7月)
7月6日
阪南市健康教育講座で、演題『産婦人科医療、最新のトピックス』の話をしてまいりました。自治体により差がありますが、中学1年~高校1年の女子生徒全員を対象に、この7月後半から、「子宮がん予防ワクチン」の無料接腫が開始されることもあって、保健センターからの内容希望は、この「子宮頸がん」と「ワクチン」の話を、とのことでした。大阪産婦人科医会や産婦人科学会でも、昨年よりたくさんのこの「子宮がん」「子宮癌ワクチン」を勉強する機会があり、また「子宮頸がん検査」の分類が「日母分類(旧来、日本のみ)」から世界共通の「べセスダ分類」に変更されてきたこともあり、さらに泉州地域の産婦人科医療の再編で、「手術、悪性の可能性のある婦人科疾患」は市立貝塚病院、「ハイリスク産科」はりんくう総合市立泉佐野病院にと、住み分けというシステム化が進んでいること、また若年層の異型性(べセスダ分類でASC‐US、ASC‐H、LSIL、HSIL)が増加していることなどなどがあり、子宮がんの話だけでも結構な量となりました。その上その他、乳がん、過活動膀胱(OAB)・骨盤臓器脱(POP)、更年期のホルモン療法(HRT)、子宮内膜症、ピル、性感染症でクラミジア以外にHIV感染症・AIDSが増加していること、お産・子育ての傾向(虐待、性暴力)など、盛りだくさんの話もさせていただきました。
PS 『子宮頸がん予防ワクチン』について
公費での子宮頸がんワクチン接種が始まっています(2011.7.20から)が、ワクチン接種の出足はゆっくりです。接種に来られた方にお聞きした限りでは、この学年に対する「子宮頸がんワクチン」接種について、①現在のところ、本年のみ(来年は未定)で、無料接種が継続される場合でも、新中学1年生だけになる(1学年のみ、現在の対象者は除外になる)かもしれないこと(何も情報が届いていないのです)、②3回接種する必要があり、3回目が初回接種から6ヵ月後、3回目が今年度中つまり来年3月中であることが必要です。逆算すれば、現在中学1年~高校1年生の女子生徒が、3回とも無料でワクチン接種を受けるためには、この9月中に初回接種を受けねばならない、ということになります。
現在予約受付中です。私たちの施設では、「子宮癌ワクチンについて~その利点と限界」「ワクチン接種後の注意点」「ヒトパピローマウイルス(HPV)」「セクシャルデビュー後の子宮がん検診」などについても併せて説明させていただいています。
7月16日
昨年に続き、奈良県王寺の白鳳女子短大に、母乳育児の講義に行ってまいりました。
『母乳育児支援がめざすもの』というタイトルで、(途中5分の休憩をはさみ)2講座、180分間のロングランでした。私も疲れましたが、学生さん達、よく頑張りましたね。(写真は講義中の私です)
PS)昨年に続き、白鳳女子短大、助産学生の実習生が来ます。よろしくお願いします。
7月17日
第20回母乳育児シンポジウム第10回実行委員会(最終)に出席してまいりました。東日本大震災の影響もあってか、シンポジウム参加者は少なめのようです。でも充実した内容になるよう、実行委員一同がんばります。シンポジウムⅠでもシンポジストとして、がんばります。
7月23日 なにわ周産期フォーラムに参加してまいりました。
特別講演、帝京大学附属溝口病院小児科教授 渡辺博先生による『日本の1-4歳児の死亡率は高い~先進14ヵ国間での比較および日本の死亡小票調査に基づく要因解析~』のお話は衝撃的でした。
7月24日
和歌山母乳の会に参加してまいりました。
講演は、坂本フジエ助産師(坂本助産所)、演題は『母乳育児~現代(いま)・昔~』で、20歳で助産婦免許取得、23才で和歌山県の自宅で開業、73歳で田辺市に移転、87歳の今なお現役、4000人近い出産に係わり、子育てのよろず相談所として地域に貢献されているという大先輩。お話しぶりからも、新しい母乳育児の知識も随所に披露され、本当に今なお現役なのだと、身が引き締まる思いでした。
PS)和歌山には、昨年この「院長の学術活動報告」でも報告しましたが、「母乳」の話をし始めると止まらない、和歌山県立医科大学の山本宏名誉教授がおられます。確か坂本フジエさんとほぼ同じご年齢ではないかと思います。3、4年前母乳哺育学会にカバン持ちで、お供したとき、「笠松、いくつになったんや」と聞かれ、私の年を答えると、即座に「まだ青いな、まだ子どもやな」と言われたことを懐かしく思い出しました。
シンポジウム『各施設における母乳育児の取り組み』の発表施設は、5施設もあり、和歌山には他にも積極的な施設が2~3あるとのこと、着実に母乳育児推進の施設が増加、母乳育児支援が広がっていることがうかがわれ、たいへん頼もしく感じられました。
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