院長の学術活動報告
院長の活動報告(H23年8月)
8月6~7日
第20回母乳育児シンポジウム(京都)
今年(2011年)のシンポジウムは、京都みやこメッセで開催されました。全国から1100名もの方に参加していただきました。近畿地域を中心にした実行委員会開催は、昨年(2010年)9月から10回にも及び、(多分)それなりの成果を残すことができたのではないか、と感じています。各施設、各地域の実行委員の皆さま(当院からも、私以外に実行委員2名と当日お手伝いスタッフの4名)、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。
私はシンポジウムⅠ「母乳育児―施設で始める はじめの一歩」のシンポジストとして『分娩室から始める母乳育児、母子同室』の話をさせていただきました。
内容を簡単にお伝えします。私たち、母乳育児支援に係わっている施設、医療者の目標は、『母乳のみで、赤ちゃんが大きくなり、母親が母乳育児を続けていけること』と考えられています。
もう少し実際に即して解説します。『母乳のみ』は、『(できるだけ母乳だけ)(補足が必要となることがある、少ない方がよいが)(補足は人工乳か糖水か、補足は糖水(入院中の人工乳補足群と糖水補足群を比べると、人工乳補足群の1ヵ月母乳率は明らかに低い))』と考えられます。この面の論議は既に確定している感があります。
一方『赤ちゃんが大きくなり』に関しては未だ不十分かもしれません。『大きいことがいいこと』とは申しませんが、やはり『赤ちゃんは大きくなる』ことが絶対必要です。『赤ちゃんが大きくなり』は、『赤ちゃんの(体重が増える)(体重減少率が少ない)(出生体重への回復が早い)』と細分化できます。『出生体重への回復』は早ければ安心です。『退院時に回復する』と安心ですが、『退院時』には施設間差があり、また『回復する』は全例には難しいと考えられますので、『日令5』の『回復率』を代用して評価します。『最大体重減少』となる『最低体重日』は、その翌日にしか判明しません。私たちの施設の経験から、チェック日は『日令2』の『体重減少率』を代用します。これも経験から、施設平均の『最低体重日』が『日令2』より早まることはなさそうです。『日令2』の『体重減少』を少なくするのには、『出生直後からの授乳(初回授乳)支援』が重要となります。『適切に吸着』できているか、吸着ができるためには『早めの空腹のサイン』で関われているか、サインを見つけるために『静覚醒(目覚めて静かにしている時)』から関われている(抱いて、目を見て、語りかける)か、が大切なポイントとなります。『不適切な吸着』による、『乳頭・乳房トラブル(乳頭亀裂、乳管のつまり)』『乳汁分泌不良』『泣き』『発熱』『想定以上の体重減少』『低血糖』『預かり』『マタニティーブルー』などのネガティブなサインを見つけることも重要です。
『母親が母乳育児を続けていける』とは、『母親が(退院後も、つまり退院時に)、(自分の力で、自信を持って~おっぱいを欲しがるサインによるやり取り=自律授乳)母乳育児を続けていける(=母乳育児の確立)』ということと考えられます。出産後の『入院期間』が4時間~1泊2日しかない諸外国と比べ、私たちの国では数日~約1週間もあり、『母子の関係作り』には最適の『周産期環境』と考えられます。
母子の、親子の、人と人との『関係性』が危うくなっている現在、この『関係性』が始まる、『はじめの一歩』での周産期医療、医療者の役割が大切である、という思いを込めて話を致しました。詳しくは、近々発行される『第20回 母乳育児シンポジウム 記録集』をご参照ください。
8月20日、27日
近々発売される子宮頸がん(HPV感染)予防ワクチン「ガーダシル」の「エクスパートミーティング」に参加してまいりました。講師お二人の、異なる角度からのお話、2週続けてお聞きすると、とても参考になりました。
8月29~31日
大阪国際会議場で開催された、日本産婦人科学会に参加してまいりました。
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