院長の学術活動報告
院長の活動報告
2013年
1月13日 第11回新生児黄疸管理研究会(旧UB研究会(於 淀川キリスト教病院))で、『これからの新生児黄疸管理~やさしく、確実な管理を目指して~私たちの施設の「黄疸治療」を検討する』の演題で、シンポジストとして発表してまいりました。日頃の「母乳育児支援」や「自然出産」の領域のテーマではなかったので、少々心許なかったのですが、今さら恥ずかしいなど言える年令でもないと割り切り、よい「まとめる機会」ともなるので、誠に失礼となったかもしれませんが、チャレンジしてまいりました。専門家集団にただ一人素人が混じっている、開業産科施設の話となりました。皆様のお話には大変勉強になりました。一方「お産」や「母乳育児」と「黄疸」について、自施設の成績より、いくつかの事実が明らかになりました。以下列記します。
・「赤ちゃんにやさしいお産」では、黄疸治療の頻度が低い
児に負担がかかる経過のお産(緊急帝切、会陰切開、薬剤使用)は黄疸頻度が高い
臍帯血血液ガス≦pH7.25、酸素治療、出生体重<2500gでは一定割合の黄疸あり
・日令2、3の母乳での体重増加がよいと黄疸頻度が少ない、黄疸例は母乳率が悪い
体重増加が悪いと黄疸頻度が高い、糖水補足は人工乳補足より黄疸頻度が高い
・いくつかの事情から、念のための「黄疸治療」が、17.1%/全対象児、多い傾向であった
・退院後の児体重、黄疸などのフォローアップは必要である
入院中黄疸治療例(14.7%/全対象児)の約30%は、退院後再入院治療となっている
退院後初回の黄疸治療入院例(2.4%/全対象児)がある
・食事会に参加させていただきました。各先生とのお話、楽しい時間、ありがとうございました。
1月26~27日 日本母乳の会理事会
1月28~29日 モンゴルから新生児科医(エイヘイ先生、母子センターからサポート役で岡崎容子先生)が研修に来られました。モンゴルからの研修は、今年で第5回目になります。
エンヘイ先生(Dr. T. Enkhjargal)より、『モンゴルの新生児医療(仮題)』について講演していただきました(先生より戴いたPCファイルより報告させていただきます)。モンゴル国の
周産期死亡率 16.9/1000出生(2010年)
早期新生児死亡率 10/1000出生
乳児死亡率 19.4/1000出生
母体死亡率 45.5/100000出生
未熟児出生率 4.2%(2009年)/4.4%(2010年)/4.2%(2011年)
エンヘイ先生は、モンゴルの首都、ウランバートルにある、国立母子健康センター病院(National center for maternal and child health 658床 産科婦人科部門と小児科部門) の新生児科副部長。このセンターでは、毎年約10000件のお産(9088/2009年、9420/2010年、10208/2011年)があり、モンゴルの全出生(68544/2009年、65660/2010年、70328/2011年)の約1/7を担っていることになります。
モンゴル国の紹介の後、同センターのデータ(未熟児出生率、新生児死亡の原因など)、モンゴルの母乳育児の実状(出産前の母乳育児教育は殆どない、乳房マッサージするスタッフはいない、陥没乳頭には(用手的)ブレストポンプ使用、1時間以内の乳頭吸啜は93%で実施、母乳から乳児食への切り替えは3~6ヵ月~最初はヨーグルト、次いで肉スープ~、バスなどの公共での授乳は普通の光景である)について、聞かせていただきました。
当院から、『私たちの施設の妊娠、陣痛、お産、母乳育児支援』の講演をいたしました。
終了後、恒例の懇親会を行いました。席上、当院の「フリースタイル出産」が話題となり、過去最初のころ当院に研修に来られた(モンゴルの)同僚医師より、当院のフリースタイル出産のことを聞いていたとのこと、またモンゴルの同センターに以前勤めていた、モンゴルのお産の歴史に興味を持っていた、産科医師が「籠」を抱えながらのお産、伝統的なお産について、熱心に話していたことを思い出した、などと盛り上がりました。
2月 3日 第四回近畿母乳育児フォーラムが、神戸大医学部シスメックスホールで開催されました。当院より、4名参加しましたが、私はインフルエンザに罹り、欠席しました。さすがにインフルエンザ、大したものです。まいりました。
3月23日 泉州広域母子センターの勉強会(りんくう総合医療センター)に出席してきました。
3月24日 BFH認定再評価保留施設のための研修会が開催されました(大阪大学中之島センター)。
担当委員として、『母乳育児支援の誤解を紐解く』の演題でお話させていただきました。
4月13~14日 「赤ちゃんにやさしい病院」現地調査に行ってまいりました。
スタッフ一丸で取り組んでいる明るく、元気な施設でした。
4月21日 シャンソン歌手『菅尾玲子さん』のコンサートを聞いてまいりました。2回目ですが、懐かしい歌、軽快なおしゃべり、楽しかったです。
5月23~24日 中学生の職業体験が始まりました。今年は阪南市、泉南市の計5校に増えました。
6月 1日 第16回大阪母乳の会総会・講演会(市立総合医療センター)で、『母乳育児支援と児体重』の演題で講演しました。
A.「入院1週間と施設の役割」・・この項では、「入院日数、国による違い~日本の入院期間が長めであること」「入院1週間の及ぼす影響、課題と利点~補足や入院中の母乳育児支援の必要性が援助者側の課題となる反面、支援期間の長さがより継続性、個別性に富む、細やかな係わりが可能となる」「1週間の入院期間の意味と意義~①児体重の減少、増加、回復が確認できる②母親の母性、児の社会性、母子関係の発達が確認できるなど」についての話。
さらに入院中の母乳育児支援として「三つの目標~母乳で、赤ちゃんの体重が増え、母乳育児が続けられる」「母乳育児は三つの要素~おっぱい、赤ちゃん、母親~で成り立っている」「Ⅲ期にステージ分類~乳汁分泌期、児体重増加期、母乳育児確立期~して援助する」「3.5ヵ所のチェックポイント~初期評価(生まれて2~4時間)、初回授乳評価(20~24時間)、最低体重日評価(日令2)、退院日評価(日令5)」の話。
B.「母乳育児支援、評価の指標」・・まず、母乳育児支援で起こる錯覚として、「問題点を絞り切れていないために起こる錯覚」「補足~何を補足するのか、ではなく、何故補足することになったのか、が課題なのに、徒に、何を補足、に時間を費やしていること」「吸着~適切な吸着を評価することは難しいこと、不適切な吸着の結果、特に最初に明らかになる乳頭トラブルを見つけ、速やかに対応すること、が大切である」の話。
母乳育児支援の評価指標は、各時期(入院中、退院時、1ヵ月)の母乳率のみが使われてきたが、数値化でき、母乳育児(支援)全体を評価できる指標として、「児体重(減少、増加、回復)」を提案した。20数年間母乳育児支援に係わった中で、①赤ちゃんの体重増加より、母乳(のみ)であることを優先する考え方にときどき出会うこと ②やはり、赤ちゃんは大きくなることが大切であると思うこと ③「母乳であること」と「赤ちゃんが大きくなること」の両側面が両立することが重要である と私は考えています。
各時期(最低体重日、退院日、1ヵ月)での赤ちゃんの体重減少、回復、増加の推奨域、要注意域、危険域の検討が必要となります。
C.「児体重減少、増加、回復のデータ」・・(略)
D.「各時期の児体重を評価する」・・(略)
6月 3日 大阪府立母子センターより看護スタッフの皆さまの研修が始まりました。月1名、数日ずつ、来年3月ころまでの予定です。お役にたつことを願っています。
6月18日 十三市民病院で、演題『私たちの施設のお産、フリースタイルのお産』で講演させていただきました。
6月29日 谷口病院BFH認定記念報告会(スターゲートホテル)
山内代表理事の代理として、出席、祝辞を述べてまいりました。
6月29~30日 日本母乳の会理事会出席(東京)
7月7日 ひょうご母乳・育児の会で、演題 『お産が楽しい、母乳育児が楽しい、への支援』で講演してまいりました。
7月21日 わかやま母乳の会で、演題 『早期母子接触の留意点を考える』で講演してまいりました。
8月5~6日 第22回母乳育児シンポジウム(品川)に参加してまいりました
9月22~23日 北陸地方の私立の産婦人科施設を訪問し、演題『母乳育児支援で目指すもの』で講演、並びに支援してまいりました
10月26~27日 ソフロロジー学会に参加してまいりました
11月16~17日 BFH施設連絡会議にスタッフ2名と出席
12月7日 大阪母乳の会定例会
12月21~22日 BFH関連委員会の会議に出席
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